1-1 伝達の表現
ここでは「伝達の表現」の演習を行います。
以下の問題に挑戦してみましょう!
伝達の表現
問 以下の日本文を英訳してください。
1. その本をどこで手に入れたかを教えていただけないでしょうか。
2. 私たちはその国で一番古いと言われているお城を訪ねた。
3. 私の英語の先生は、先日、私のしゃべる能力がずいぶん伸びたと言ってくれました。
解答・解説(その1)
1. その本をどこで手に入れたかを教えていただけないでしょうか。
公式
「O1(人)にO2(物事)を教える」 | tell O1 O2 |
“tell O1 O2” は「O1(人)にO2(事柄)を教える・伝える」の意味です。
→ “O1(人)” の省略はできません。
“can tell + wh-節 / if[whether] 節 / that 節” だと「〜が分かる」の意味になります。
(例)I can’t tell if he is right or not.
「彼が正しいかどうか分からない」 【Genius 5th】
(例)How could you tell it’s me?
「どうして私だと分かったの」 【Genius 5th】
“teach ~” は「(教科など)を教える」の意味。会話で相手に情報を伝える場合には用いません。
語句
「その本をどこで手に入れたか」(* 過去形) |
① where you got the book |
② where you found the book |
③ where you obtain the book |
④ where you come across the book |
“③ obtain ~” は「(事・物)を得る・手に入れる」の意味です。
“④ come across ~” は「(事・物)を(偶然)見つける」の意味です。
「その本をどこで手に入れたか」は目的語なので、間接疑問文の語順にします。
→ “where did you get the book”(疑問文の語順) は不可です。
使い分け
“get”, “acquire”, “obtain”, “gain” の違いを学習しましょう。
get | 「〈物・事〉を得る・手に入れる」 |
何かを「手に入れる」の意味を表す、最も一般的な、意味の広い語です。 |
acquire | 「(努力・能力などにより)〈知識・評判・習慣など〉を身につける」 |
(堅い語)物、知識、評判、嗜好などを努力、学習、振る舞いなどで得ることを表します。「継続的に徐々に獲得する」過程を強調します。 |
obtain | 「〈物・事〉を(努力して・計画的に)得る・手に入れる」 |
(やや堅い語)主に書き言葉で使います。物や事を得るための努力や長期間の苦労を強調します。 話し言葉では “get” を用います。 |
gain | 「(努力をして)〈欲しい物・必要なもの・貴重なもの〉を獲得する・勝ち取る・手に入れる・得る」 |
この4語の中で一番努力をして利潤などを「得る」ことを指します。時に、次第に増えていくことを暗示します。 「〜を得る」の意味では通例、 “get ~” を用います。 |
・ acquire skills through exercises
「練習を通して技術を身につける」
・ acquire a taste for sushi
「(当初は苦手だったが、だんだん)寿司が好きになる」
・ obtain rare shoes from abroad
「珍しい靴を海外から入手する」
・ Further information can be obtained from an information desk.
「より詳しい情報は案内所で入手可能」(* 書き言葉)
・gain one’s goal
「目標を達成する」
・ gain wide currency
「広く普及する・広く流行する」
→ “currency” 「(習慣・考え・言葉などの)広まり・普及・流布」
解答例
・ Could you(S) tell(V) me(O1) where you got the book(O2)?
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問題文は「〜していただけないでしょうか」と言う丁寧な表現だったので、 “Could you ~” という形で解答します。
“Can you~?” は「(友人などに対して)〜してくれない?」と言うくだけた表現になります。
・ May I(S) ask(V) where you found this book(O)?
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“May I ~?” は「〜してもよろしいですか」の意味です。相手を尊重して(自らの利益のために)許可を求めるときに使います。かなり丁寧な表現です。
(例)May I have another cup of coffee?
「もう一杯コーヒーをいただけますか」
(例)May I have your name, please?
「お名前を伺えますか」
→ 解答例の訳は「あなたがどこでこの本を見つけたか聞いても良いですか」となります。
許可を求める度合いは以下の順で丁寧になります。
can < could < may < might
今回の “May I ~?” は(米用法)ではかたい表現です。親しい間柄では “Can[Could] I ~?”や “Is it all right if I do ~?” を使います。
“May I ask you where you ~?” の “you” はいりません。
→ 後半の “where you ~” で誰に尋ねるか分かるので “ask you” の you があると少し重く感じられます。
解答・解説(その2)
2. 私たちはその国で一番古いと言われているお城を訪ねた。
公式
「〜であると 言われている」 | be said to be ~ |
* to be は時間差がない場合 |
「〜であったと 言われている」 | be said to have p.p. ~ |
* to have p.p. ~ は時間差がある場合 |
“S say that SVO” の受け身形は以下の2パターンです。
① It is said that SVO 「〜であると言われている」 |
② S is said to do ~ 「Sは〜すると言われている」 |
People say that he got married last year.
= It is said that he got married last year.
= He is said to have got married last year.
「彼は去年、結婚した そうだ」
語句
「その国で一番古いと言われている お城」 |
the castle which is said to be the oldest in the country |
「一番古い」という修飾語がついているので、定冠詞 “the” が必要です。
→ 「1つに決まるときは the を使う」と覚えておきましょう。
“be said to be ~” は「〜であると言われている」の意味です。
“be told to do ~” は「〜するように言われる」と言う意味なので、今回は使えません。
「〜を訪ねる」 | ① visit ~ |
② go to see ~ |
解答例
・ We(S) visited(V) the castle(O) which was said to be the oldest in the country.
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今回は “be said to be ~” は「〜であると言われている」を使いました。
・ We(S) visited(V) the castle(O) which we heard was the oldest in the country.
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“was said to” の代わりに “we hear” 「〜だと噂に聞いている・〜だそうだ・〜らしい」を使いました。
文法的には主格の関係詞(連鎖関係詞)になっています。
① We visited the castle.
② We heard the castle[=which] was the oldest in the country.
解答・解説(その3)
3. 私の英語の先生は、先日、私のしゃべる能力がずいぶん伸びたと言ってくれました。
公式
「O1(人)に〜ということを言う」 | tell O1 that SVO |
“say to O that SVO” より上の表現の方が自然。
→ “said to” is possible, but not very natural. (ネイティブチェック)
語句
「先日」 | ① the other day |
② a few days ago |
③ several days ago |
④ recently |
“④ recently” に関しては [1-4 時の表現] で詳しく学習します。
「私のしゃべる能力」 | ① my ability to speak English |
② my English speaking ability |
“× my ability to speak” だと母国語を話すことを意味します。
“× my ability of speaking English” とは言いません。
「ずいぶん伸びた」 | ① improve a lot |
② get much better |
③ greatly improve |
① “improve” は「良くなる・回復する・進歩する・向上する」の意味の自動詞です。
“a lot” は「大いに・大変」=”much / a great deal” の意味です。今回は 副詞 の働きをしています。
② “get C” 「〜になる」
→ Cになるのは 形容詞・形容詞化した過去分詞 です。名詞は不可です。
③ “greatly” は 良い意味を持つ 動詞・分詞・形容詞の比較級の前に置きます。
“× spread[extend / expand] a lot” は不可です。
→ 「(能力)が伸びる」をこれらの動詞で表すことはできません。
解答例
・ The other day(副) my English teacher(S) told(V) me(O1) that my ability to speak English(S’) had improved(V’) a lot(副).
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先生がほめてくれた過去の時点で「すでに私の英語を話す力が伸びている」ので、過去完了を使い “had improved a lot” とします。
→ 「過去より前(古い時)は過去完了」と覚えよう
“△ had improved much” はあまり使われない表現です。
→ 現代英語では、副詞の “much” は単独ではあまり用いません。 “very much” とするか、”a lot”, “a great deal”, “greatly” などとします。